大判例

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大阪地方裁判所 昭和34年(ワ)265号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判決理由】被告藤川は昭和三三年一月一〇日頃本件建物を長女の被告近藤に贈与し、同年六月二三日附で本件建物の元所有者訴外藪下から被告近藤に中間省略による所有権移転登記手続をなし、同時に本件土地賃借権を譲渡したこと、右は、被告近藤がその夫訴外近藤一二三と共に昭和二二年二月結婚以来約一〇年間、被告藤川の製麺製パン等の業務を手伝つて来たことであり、被告藤川はすでに五五才を越えかつ七人の子女があるので、やがては相続の問題も生ずることを慮り、その生前に本件建物を被告近藤に贈与しておく方がよいと考えたことによるものであることを認めることができ、他に右認定を覆えすに足る証拠はない。

右認定の次第で、被告藤川が被告近藤に対し本件土地の賃借権を譲渡したことは認められるけれども、右の事情の下では、右譲渡は賃貸人に対する背信的行為と認めるわけにいかない。原告はこれに対し、被告藤川が現在本件建物に同居していないし、被告近藤は本件建物を二階建に改造して第三者に賃貸しようとしているから、被告等の背信性がないとの主張は失当であるというが、被告藤川が本件建物に同居していないからといつて、前記賃借権の譲渡に背信性ありとはいえないし、改造の点は、被告藤川の行為でないのみならず、さきに挙示した証拠によれば、本件建物が従前中二階であつたのを、一部を第三者に賃貸するため、普通の二階にしたまでで、この程度では、宅地そのものの利用状況に変更を与えるわけではないから、被告近藤の土地使用が被告藤川の土地使用と著しく異なり、それがため、ひいては本件賃借権の譲渡が背信性を帯びるに至るというわけのものでもない。以上の次第で原告は被告藤川に対し、民法第六一二条二項による解除権を行使し得ないものといわなければならない。(井野口勤)

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